
「妊娠してから、何となく心が落ち着きません」
たとえ待望の赤ちゃんであっても、妊娠に気づいた女性は心が揺れます。妊娠してしばらくの間、女性は相反する思いを抱く経験をするそうです。いのちを授かって「うれしい。がんばろう」と喜びながらも、「どうしよう。育てる自信がない。妊娠前に戻りたい」といった不安な思いや解放されたい感情が湧いてきます。
また、妊娠初期には、つわりなどの不快症状もあり、心身ともにすっきりしないときです。体調が悪いときや不安な思いが強いときは、様々なことを悪い方に考えがちになります。
しかし、心も体も少しずつ慣れてきて落ち着いてくるでしょう。
「おなかの赤ちゃんが無事に育っているかどうか心配です」
あなたが、おなかの赤ちゃんのために「元気に育ちますように。元気に生まれてきますように」と願うことは、当然のことです。しかし、時に「もしも元気でなかったらどうしよう・・・」という考えがよぎることがあります。
この願いと不安は、妊娠中、出産中、そして生まれてからも、ずっとあなたの心に在り続けるでしょう。もしも不安な気持ちが長く続いたときは、「どうして不安になるのか」を振り返ってみましょう。
赤ちゃんも、あなた自身も、無条件に尊い存在です。この世の中にパーフェクト、完全な人はいません。一人ひとりの個性が尊重され、助け合い、分かち合って生きていける社会なら、どんなにすばらしいでしょう。
妊娠中は、改めて人と人との関係を考える良い機会です。まずは、あなたの願い事や不安な気持ちをパートナーやご家族、親しいお友達に伝えてみませんか。あるいは、妊婦健診で出会う医師や助産師、あなたの町の保健師も、あなたの身近にいる支援者です。
そして、JDSの電話相談もぜひ活用してください。
「出生前検査を受けようかどうか迷っています」
あなたは、どうして出生前検査を受けようと考えたのでしょうか? そして、出生前検査について十分な説明を受けましたか?
突然、「あなたの赤ちゃんには何らかの病気がある可能性が高い。出生前検査をして染色体を確認し、赤ちゃんの治療を考える必要があります」と告げられたときは、それを理解することは難しいと思います。ですから、産科医や助産師、関係する医療者から丁寧な説明を受けてください。できれば、あなたのパートナーと一緒に説明を受けましょう。また、あなたがどうしてよいかわからないと思う気持ちを伝えてケアを受けてください。
染色体異常の可能性があると告げられたとき、また、そのような心配があって出生前検査を考えているときも、出生前検査についてよく説明を受けてください。出生前検査の目的・方法だけでなく、出生前検査の対象(ダウン症など)の最新の情報についても説明を受けましたか? そして、予想される結果とその後の選択肢についても説明を受けて理解できたでしょうか?
出生前検査を受けて、それがあなたの望まない結果であったとき、あなたはどうするか考えていますか?そこまで考えたときには、「検査をするか」または「しないか」の間で気持ちが揺れるでしょう。結論を出すには一定の時間が必要です。いつまでに決めなくてはいけないか、検査の説明をした医師に確認しておきましょう。
結論を出すにあたって、誰かに話を聞いてもらいながら考えることも有効です。妊婦健診でカウンセリングやケアを受けられるかどうか、聞いてみましょう。もちろん、ご要望があれば、私たちJDSの電話相談でも応じていますので、ご連絡ください。
「出生前検査を受けないことにしましたが、不安が消えません」
健康に生まれた赤ちゃんでも病気になることはありますし、障がいのない赤ちゃんでも不慮の事故などによって障がいをもつことはあります。将来のことは、わらないことだらけです。
今、確かなことは、あなたと赤ちゃんが出会う時がやがて訪れる、ということです。ですから<迎える準備>に取り組んでみませんか。
<迎える準備は自由な思いで行ってください。>
●温かい心で迎えよう。
●わたしたちのところにきてくれて「ありがとう」と言おう。
●何があっても守ろうと誓おう。
●「いつも一緒だよ」と語りかけよう。
●家族の輪の中で迎えよう。
「出生前検査を受け、今、不安な思いで結果を待っています」
あなたの願いがかなう結果であることを祈りながら待っていてください。
検査結果を待つ間も、おなかの赤ちゃんは成長していきます。‘胎動’を感じるようになっているかもしれません。お子さんを愛おしむ気持ちが自然と高まってくることでしょう。どうぞその気持ちに蓋をしないで、赤ちゃんに話しかけてあげてください。
もしかしたら、検査を受けようと決心したときと、今とは、思いや考えがが変化しているかもしれません。「今はどんな結果であろうと育てていきたい」と思ったとき、新たに得たい情報も増えるでしょう。
JDSがお力になれるかもしれません。いつでもご連絡ください。
「検査の結果、赤ちゃんに染色体異常があると告げられました」
赤ちゃんの検査結果はダウン症でしたか? 育てていく自信がない・・・ 確かに育っている命がある・・・ どうしよう・・・ とても混乱し不安でいっぱいでしょう。
あなた一人でその思いを抱えないでください。これからどうするか、あなたのパートナーや家族とよく話し合ってください。そして、これからを決めるためには正しい知識と情報が必要です。JDSにはあなたが必要とする支援や情報があります。このホームページの「ダウン症のあるお子さんを授かったご家族へ」もぜひお読みください。そして、どうぞ遠慮なくJDSに連絡をください。あなたの思いを話してください。心を開いてあなたの気持ちを受け止めます。
「出生前診断を受けました。これからのことを聞きたい」と率直に伝えてくださって大丈夫です。
【協力:中込さと子(日本遺伝看護学会・山梨大学)】