成人期ダウン症の実態を多方面からとらえる

成人に至ったダウン症者の豊かな暮らしに貢献できるように研究をすすめていく上で研究会のネットワークを推進力としていただければと願っています。

成人期ダウン症研究会へのおさそい

成人期ダウン症研究会は、成人期のダウン症のある人たちに関する研究や臨床に携わる研究者の交流を促し、この分野での研究と支援方法の開発につなげることを目的に、公益財団法人日本ダウン症協会の公益事業の1つとして設立されました。近年、ダウン症者の平均寿命が60歳を超えるようになり、以前のダウン症像は大きく変化しています。医療的にも心臓手術を始め、合併症に対する診療指針はほぼ出来上がってはいるものの、成人期医療となると明らかな方針を立てられないままになっています。それは、日本における成人に至ったダウン症者の暮らしの実態、認知レベル、老化進行程度など実態調査も少なく、信頼できるデータが限られているためです。

一方、若年成人期の退行様症状、成人期のアルツハイマー病の進行などについては薬剤開発の対象にもなり、近年注目されるようになりました。さらに、高齢期になっても動脈硬化が少ない、死因として脳卒中が多いなど特徴的なことが多く、研究者の注目を集めています。そこで成人期ダウン症研究会では、成人期のダウン症者の実態を多方面からとらえ、成人期ダウン症者に発症する早期老化のメカニズムなどの病態を科学的に解明していき、成人に至ったダウン症者の豊かな暮らしに貢献できるように研究をすすめていく上で研究会のネットワークを推進力としていただければと願っています。

第7回成人期ダウン症研究会

開催日時 2024年3月23日(土)
会場 オンライン開催(申し込みはPeatixより
プログラム ◆特別講演「小児病院におけるダウン症候群の移行期医療」
 大場大樹先生(埼玉県立小児医療センター遺伝科)
◆研究課題報告1
「成人ダウン症候群患者における下肢静脈瘤発生頻度とフットケアニーズについて」
 藤井貴子先生(八尾徳洲会総合病院)
◆研究課題報告2
「成人ダウン症候群のヘルスメンテナンスにおけるかかりつけ医の意義」
 明石芽未先生(森町家庭医療クリニック)
参加費 公益財団法人日本ダウン症協会会員 3,000円 非会員 4,000円(申込時JDSへの入会可)
※「JDS会員」とは、公益財団法人日本ダウン症協会(JDS)から毎月会報を送らせていただいている会員です。JDSは公益事業を行うにあたり、ダウン症のある方の親だけでなく、ダウン症に関わる支援者・専門家の方々にも多くご入会いただいています。 成人期ダウン症研究会のみの会員資格はありません。

研究助成プロジェクト

成人期ダウン症研究会 プロジェクト研究募集要項
2018年度より新たに研究助成審査委員会を創設しました。本助成は、創造的な研究を支援することで、日本での成人期ダウン症に関する研究を更に普及・発展させることを目的とします。国内で研究に従事されているアカデミアの皆さまの積極的なご応募をお待ちしています。
対象研究 成人期ダウン症に関する国内での研究
助成金額 最大50万円/年度(総額)
助成件数 最大3件
応募資格 特になし
応募期間 2024年1月31日(水)申請書のメール必着
※助成金使途の費目は申請書掲載に限りません、内訳を具体的に記入
※詳細資料添付も可
選考結果 2024年2月中をメドに採択者をホームページに掲載し、各採択者には採択通知を郵送
成果発表 来年度または再来年度の成人期ダウン症研究会にて研究成果を発表
応募先 成人期ダウン症研究会事務局 Mail: adults.ds.society@gmail.com
2022年度研究助成審査結果(2023/3/31更新)
JDS研究助成の採択者は下記の通りになりました。
  1. 応募総数 2通(医療2)
  2. 採択数 2通
  3. 採択結果
    ① 明石 芽未(浜松医科大学)
    「成人ダウン症候群のヘルスメンテナンスにおけるかかりつけ医の意義」
    ② 藤井貴子(八尾徳洲会総合病院)
    「成人ダウン症候群患者における下肢静脈瘤発生頻度とフットケアニーズについて」
  4. 採択テーマに対する助成金額
    ①に対し25万円
    ②に対し25万円
  5. ※各採択者には2023年度開催の成人期ダウン症研究会にて研究内容を発表いただく予定です。

研究会報告

第1回成人期ダウン症研究会

2017年11月11日と12日に第1回日本ダウン症会議が開催されましたが、その第1日の午前中に、第1回成人期ダウン症研究会が開かれました。武蔵野大学の木下大生先生の「高齢期ダウン症者の認知障害の特徴」と、社会福祉法人旭川荘 旭川荘総合研究所の桑野良三先生による「遺伝子レベルから見た高齢期ダウン症者の特徴と治療に向けて」という2つの講演の後、参加者による意見交換が行われました。初めての試みにもかかわらず、全国から30名を超える研究者・臨床家の参加を得て、今後、継続的に研究会を開催していくことが決定されました。

第2回成人期ダウン症研究会

2018年9月1日第2回成人期ダウン症研究会が大阪医科大学にて開かれました。「高齢期ダウン症者の障害福祉の諸問題」茂木成美先生(京都大学大学院 総合生存学館)、「高齢期ダウン症者の脳病理像について」林雅晴先生(淑徳大学 看護栄養学部 看護学科)、「ダウン症者の歯周病の病態メカニズム〜唾液タンパク質の抗酸化能との関連性〜」小松知子先生(神奈川歯科大学大学院 全身管理医歯学講座 障害者歯科学)「ダウン症におけるADAMTS1の病的血管新生阻害の意義〜固形がんや動脈硬化に伴う虚血性心疾患との関係〜」廣畑聡先生(岡山大学大学院 保健学研究科)の4発表をいただき、50名近い研究者・専門家の参加をいただきました。またこの研究会に先がけて研究会理事会を開催、理事の先生方からのご意見も踏まえ、第5回までは日本ダウン症協会内の研究会として開催し、醸成していくことを確認いたしました。

第3回成人期ダウン症研究会

2019年11月15日第3回成人期ダウン症研究会が大正大学にて開かれました。研究課題報告1 成人期ダウン症候群のQOLの高い生活をめざした支援課題と方法に関する検討 ―生涯発達の観点からの実態調査による成人期の実態と発達課題の解明― 伊藤 浩先生(社会福祉法人 幸会 理事長)、研究課題報告2 「成人期ダウン症候群診療ガイドライン」の作成 竹内 千仙先生(東京都立北療育医療センター 神経内科医長)のご報告のあと、特別講演「ダウン症候群の排尿障害」佐賀大学 野口満先生をいただき、50名近い研究者・専門家の参加をいただきました。終了後の懇談会には、東京都世田谷区のダウン症のある方のグループ「あんだんて」さんのミュージックベル演奏をいただきました。

第4回成人期ダウン症研究会

2020年10月31日第4回成人期ダウン症研究会がオンライン開催されました。「認知症の特性を有するダウン症者のケアの動向と課題」木下 大生 先生(武蔵野大学)の御講演をいただいたのち、研究課題報告1「ダウン症候群の認知症に対するtrial ready cohort構築と診断・進行予測バイオマーカーの確立」篠本 真紀子 先生(京都府立医科大学大学院医学研究科 神経内科学) 発表者:笠井 高士 先生(京都府立医科大学大学院医学研究科 神経内科学)、研究課題報告2 「ダウン症患者における早期アルツハイマー病様症状の発症メカニズムの解析」山本 一男 先生(長崎大学医学部共同利用研究センター)のご報告をいただき、50名近い研究者・専門家・当事者家族が参加しました。

第5回成人期ダウン症研究会

2022年3月5日第5回成人期ダウン症研究会がオンライン開催されました。「ダウン症候群のある患者に関する移行医療」竹内 千仙 先生(東京都立北療育医療センター)の御講演をいただいたのち、研究課題報告1「ダウン症と新型コロナウイルスの相関解析」浅井 将 先生(横浜薬科大学)、研究課題報告2 「ダウン症患者の環軸関節亜脱臼調査 -小児から成人まで‐」川口 善治 先生(富山大学医学部整形外科)のご報告をいただき、50名近い研究者・専門家・当事者家族が参加しました。

第6回成人期ダウン症研究会

2023年3月26日第6回成人期ダウン症研究会がオンライン開催されました。「ダウン症候群の性とウーマンズヘルスケア」北島 百合子 先生(長崎大学)の御講演をいただいたのち、研究課題報告1「成人期ダウン症候群患者におけるアルツハイマー型認知症の研究プログラム開発」笠井 高士 先生(京都府立医科大学)、研究課題報告2 「Down症候群の歯周病憎悪に関与する活性酸素種と唾液抗酸化ペプチドの役割の解明」小松 知子 先生(神奈川歯科大学)のご報告をいただき、50名近い研究者・専門家・当事者家族が参加しました。

JDSについて

公益財団法人 日本ダウン症協会(JDS)は、ダウン症(正式名は「ダウン症候群」)に関する知識の普及啓発、情報の提供、調査研究、ダウン症のある人たちとその家族に対する相談等を行い、ダウン症のある人たちとその家族の福祉の増進に寄与することを目的としています。そのための公益事業として、相談事業、情報提供事業、知識普及啓発事業、調査研究事業などを行っています。委員会の1つとして、成人期ダウン症研究会を2017年に立ち上げました。
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